やけど

やけど(熱傷)の分類と症状について

やけどの原因になった熱源温度と接触時間により、からだのどの深さまで熱傷が達するかが異なり、深達度によってⅠ度〜Ⅲ度まで分類します。それぞれに治療法があり、治癒までに要する期間も異なります。

〔熱傷の深さ〕と〔範囲の大きさ〕で重症度が決まりますが、ここではクリニックでよく相談される比較的小範囲のやけどについて解説します。範囲が大きい場合や、受傷部位によっては対応可能な医療機関をご紹介します。

【Ⅰ度熱傷】
皮膚のごく浅い部分(表皮層)の熱傷です。受傷した部位に赤みが出て痛みも伴います。
【Ⅱ度熱傷】
Ⅰ度より深い部分である真皮層に達する熱傷です。強い灼熱感と赤みが生じ、腫れや水ぶくれがみられます。受傷してすぐに水ぶくれがなくても、時間経過と伴に生じることがあります。Ⅱ度熱傷はさらに、真皮浅層までの「浅達性Ⅱ度熱傷」と真皮深層までの「深達性Ⅱ度熱傷」に分けられます。
【Ⅲ度熱傷】
Ⅱ度熱傷よりさらに深い部分である皮下組織まで達する熱傷です。皮膚は白色や黒色等に変化し、痛みは感じません。

原因について

熱いお湯や調理器具、ストーブ、ヘアアイロンなど高温のものに触れてしまった場合にやけどを受傷します。また、湯たんぽや電気カーペットなど、触れただけではやけどにならないような物でも、長時間触れているとやけどになってしまうことがあり、これを「低温熱傷」といいます。低温熱傷の場合は、熱傷が組織の深くまで達することが多いという特徴があります。

小さなお子様は電気ポットや炊飯器の湯気で受傷することも多くみられます。湯気にさわろうとするので、手や指に受傷することが多く、その場合は機能障害が残らないよう適切な初期治療をすることが重要になります。

やけどしてしまったら

まずはすぐに冷やしましょう。水道水で構いませんので10分以上冷やし、受診してください。冷やすことで、やけどの進行を抑え、痛みを軽減させる効果があります。また、受傷部位が腫れてくるため、指輪などのアクセサリーはすぐに外しましょう。

水ぶくれができた場合は、自分で破かないようにしましょう。

注意すること

アロエなどの草木を塗る、とりあえず自宅にある軟膏を塗ってみるなどの行為はその後の治癒に悪影響を与えてしまうことがあります。時にはやけど部位が感染を起こして重篤な症状になってしまうこともあります。この程度なら大丈夫と思わずに、受傷後早い段階で専門医を受診するのが正しい選択です。

治療法と治癒までにかかる期間、あとが残る可能性について

熱傷の分類ごとに、一般的な治療経過をまとめます。

【Ⅰ度熱傷】
受傷直後は赤みが出てヒリヒリと痛みますが、よく冷やすことにより症状が軽快し、数日できれいに治ります。一時的に色素沈着を起こすこともありますが、あとが残る可能性はほぼありません。ただし、よく冷やしても赤みやヒリヒリが続く場合や水ぶくれができる場合はⅡ度熱傷のため治療が必要です。受傷直後に自分で判断するのは難しいことも多いため、心配であれば受診するようにしましょう。
【浅達性Ⅱ度熱傷】
皮膚が再生する(上皮化)までに約1〜2週間かかります。外用治療が必要です。色素沈着を起こすことがありますが、適切なケアをすることで、数か月で治癒することが多いです。
【深達性Ⅱ度熱傷】
皮膚潰瘍に対する外用治療が必要です。上皮化するまで3週間以上かかり、瘢痕を残して治癒します。上皮化後も痛みやかゆみが続く場合や、ひきつれが生じる場合(瘢痕拘縮)があり、治療が長期間に及ぶことがあります。場合によって皮膚移植が必要になります。
【Ⅲ度熱傷】
小範囲の場合は外用治療により上皮化しますが、治癒までに時間を要し、痕が残ります。ほとんどの場合は皮膚移植など外科的治療が必要になります。